不動産所得と譲渡所得

今回は不動産に関する個人の所得税について書きたいと思います。

不動産について課される所得税は、不動産所得に対するものと譲渡所得に対するものの2種類があります。

それぞれ課税上大きな違いがあり、特徴は以下の通りです。

◎不動産所得

主に不動産の賃貸収入から得られる利益に対して課税するものである。

その利益に対して「総合課税」という制度で課税される。

※総合課税とは、他の所得(給与、年金、事業等)と合算して累進課税により税率を決める制度。

◎譲渡所得

不動産の売却により得られる利益に対して課税するものである。

その利益に対しては「分離課税」という制度で課税される。

※分離課税とは、他の所得とは分離して単独で税率を決めて税額を算出する制度。

先日、とあるお客様から「駐車場の賃貸を始めようとしているんだけど、税金何パーセントくらい見ておけばいい?」というご質問をいただきましたが、答えは「それだけではわかりません」です。他の稼ぎがあると、税率が変わってしまい、安易に算出できないからです。

賃料収入が大きくなると、事業税や消費税の心配もしなければなりません。

それに対して譲渡所得は、売却益に対して分離課税で計算されるので、売却金額が決まればほぼ税額が確定します。

他に稼ぎがあるかどうかを気にすることなく課税されるので、誰が売却しても基本的には税負担は同じになります。

(厳密には、各種所得控除があるので、税額が完全に一致するわけではありません。)

注意すべきは、譲渡所得があった年の税務上の扶養の扱いで、譲渡所得も稼ぎの一部なので、譲渡益が38万円超あるとその年には誰の扶養親族にもなれません。

また、その譲渡益は翌年の国民健康保険料にも反映されることがあるので、国保の加入者は要注意です。

相続で不動産を引き継ぐ時などは、誰が引き継いだほうが相続税が安くなるかだけではなく、その後の所得税についても気を配って決める必要があります。

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中村 龍平

中村 龍平

[副所長] [税理士/司法書士]
司法書士事務所や複数の税理士事務所などを経験した後、「自宅が近いから」という理由で当事務所の門を叩き、「現状維持でよしとする企業は要らない、私たちはお客様を選ぶ立場にある」という鈴木所長の考えに圧倒される。「ですから、当事務所のお客様には成長意欲 の高い企業が多いんです」。監査業務に加え、事務所全体の業務も見る立場にある。趣味と 実益を兼ねた株式投資歴は10年に及ぶ。
中村 龍平

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